ヒトノココロ研究所

強迫が終わらない理由

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強迫性障害の皆さまは、強迫観念や強迫行為が止まらず苦しい思いをされたことが多々あることと思います。私も、以前はぐるぐる思考に丸一日費やし、飲食もできず、トイレも我慢していた時期がありました。

 

不安は一瞬で生み出されるのに、強迫行為やぐるぐる思考が何時間も止まらない、ここが強迫性障害の苦しいポイントです。強迫観念は、私たちの意思とは関係の無い、自動思考により生み出されてしまいます。ぜんそく発作の方が咳をするように、強迫の不安発作が出てしまうのです。そして、自動的に生み出されてしまった強迫をなんとか静めようと、必死で強迫と闘うのですが、時間と労力を使い、普通の疲れとは違った、神経がすり減るような疲弊を感じます。自動思考の尻拭いをしなければならないのは、非常に不本意なことです。

 

強迫行為やぐるぐる思考には、なぜ終わりが無いのでしょうか? 

 

それは、簡単に申し上げると、そもそも始まっていないからです。自分の意思で始めたのでは無いことを、自分の努力で終わらせようとするところに矛盾点があるのです。例えば、自分の意思をもって、歯磨きを始めたなら、自分の意思で終わらせることができます。しかし、自分の意思とは関係なく降り始めた雨を、自分の努力で降り止ませることはできません。ゴールを目指したスタートが伴うからこそ、ゴールすることができるのです。

 

自分の意思で、例えばお風呂に入り、途中で洗うことを止められない強迫が出てきてしまったなら、それは、最初は正しいスタートを切ったものの、ゴールが、自分の目指すものでは無く、強迫を消すというゴールになってしまっているため、自分の意思に基づいたゴールでは無くなってしまっているという場合もあります。

 

例えば、マラソンなどしたくないのに、スタート地点で誘拐され車に乗せられ、途中で車から降ろされ、後はゴールまで自力で走れと言われているようなものです。どうせならゴールまで車に乗せて行ってくれれば良いのですが、自動思考は、自動的に始まるのに、自動的には終わらず、最後に収拾をつけることが、自分に委ねられてしまうのです。

 

始めていない物事を終わらせる、スタートしたくないのにゴールしなければいけない、これが強迫のしくみなのです。強迫行為が終わらないことは非常に苦しいですが、スタートを切っていないために、ゴールが無いのだと少しだけ意識するようにしてみてください。ゴール出来ないご自分を責めないで、脳の不安回路に、勝手にスタートさせられたということを冷静に見るようにしてください。強迫行為を終わらせることは、ご自分で決めたことを最後まで貫くこととは根本的に違うのです。

 

生まれなければ、死ぬこともありません。朝が来なければ、夜は来ません。強迫行為を終わらせることが困難な理由は、始まりが無いことに由来するのです。

 

marie

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