ヒトノココロ研究所

強迫性障害は「不安を消す」疾患

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強迫性障害の私たちは、日々不安と闘っています。なぜなら、次から次へと不安が湧き出てくるからです。それはそれで、私たちの真実です。

 

しかし、「強迫性障害は不安が出てくる疾患ではなく、不安を消そうとする疾患」だと聞いたことがあり、とても腑に落ちた覚えがあります。

 

強迫性障害ではない方も、人間はある程度の強迫を持っており、不安と共に生きています。人は皆、不安を感じるからこそ、火の元を確認し、財布を落とさないよう注意します。不安は生きるために必要なものなのです。また、人間は、生きている限り、「死」と隣り合わせだからこそ、「死」を恐れます。人間は、生存本能があるため、死ぬことに対する恐怖心を持っているからです。

 

強迫性障害の私たちの独特な恐怖心も、突き詰めれば、「死」を恐れている場合が多いのです。不潔恐怖の方は、見えない菌が入り込んで死んだらどうしようと無意識に恐れていたり、加害恐怖の方は、他人を知らず知らず車で轢いたり殺していたらどうしようと、不安要素が「死」についての強迫は少なくありません。

 

「死を恐れる」点においては、強迫性障害の方もそうでない方も同じなのです。ただ、異なっている点は、強迫性障害の私たちは、「死」から、自分を切り離そうと確認を重ね、一時の安心感を得るために必死にならざるを得ません。しかし、一時の安心を得たところで、人間である限り、死は免れないのです。自分や他人が死ぬことを必死で避けようとするか、死に意識がいかない、あるいは受け入れるか、それだけの違いが、強迫性障害か否かという見方もできるでしょう。

 

また、違う側面から見ますと、強迫性障害の私たちは、自動思考により、様々な不安が一瞬で生み出されます。時間にしたら、1秒もかからない場合も多いでしょう。しかし、その不安を消すために、確認やぐるぐる思考に丸一日費やす場合もあります。

 

整理しますと、強迫性障害の特徴として、人間誰しも持つ、「死に対する恐怖心」を消そうと過剰になる点、また、強迫観念が瞬時に生じるのに対し、強迫観念を打ち消すことのほうに時間と労力を費やす点が挙げられます。

 

このように考えると、「強迫性障害は不安が出てくる疾患ではなく、不安を消そうとする疾患」という見解が、強迫性障害の本質であるように思えてなりません。

 

marie

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