ヒトノココロ研究所

強迫性障害のリアルな説明

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まずは、強迫性障害というものをご存じない方に、ご説明させていただこうと思います。

 

Wikipediaによると、強迫性障害とは、「不合理な行為や思考を自分の意に反して反復してしまう精神障害の一種」であり、「同じ行動を繰り返してしまう「強迫行為」と、同じ思考を繰り返してしまう「強迫観念」からなる」と、あっさり端的に書かれています。定義としては合っているのですが、この説明に一言付け足させてもらえるなら、「地獄の苦しみ」が適切でしょう。

 

不合理な行為や思考、と言っても、大まかな分類分けはできるのですが、細かい症状は百人百様です。

 

私がカウンセリングを行ってきた中で、私なりに説明すると、例えば、目に見えない汚染に対する不潔恐怖、車で人を轢いたのではないか、人をホームから突き飛ばして殺したのではないかなどと恐れる加害恐怖、自分で見聞きして確認したはずの事柄が不確実であやふやになる恐怖など、挙げればきりがありません。

 

わかりやすく、「恐怖」という言葉を使いましたが、この恐怖感がただ者ではないのです。お化け屋敷の怖さなどという次元では無く、居ても立ってもいられない、何も手につかない、気も狂わんばかりの恐怖感なのです。

 

そして、その恐怖感を消そうと、例えば、不潔恐怖の場合は、見えない汚れが、汚物から手に付き、手から服に付き、服を洗濯したら洗濯機が汚れ…と際限なく除菌し続け、時間も奪われ、心身共に疲弊するといった感じです。また例えば、加害恐怖の場合は、車で人を轢いていないか、走ってきた道を戻り、何時間も検証し、警察に事故が起きていないか確認し、帰宅も遅くなり、翌日の車通勤が怖くなり、会社に行きたくなくなるというパターンがあります。

 

これらはほんの一例であり、全ての例を説明するには、何冊か本を書く必要があるでしょう。しかし、おそらく全ての強迫性障害の方に共通するのは、言い表せられないほどの恐怖心や不安、精神的気持ちの悪さ、それらの強い不快感を消すために、ぐるぐる考え続け、大丈夫だと思えるまで確認し、時間を要し、心身が疲弊するということです。

 

脳が勝手に指令を出し、それに従わないと苦しくさせられるなど、もはや拷問です。強迫性障害の強い不安感や恐怖感は、脳内の不安に関わる部分の過活動が原因だと思われます。不安な出来事が不安感を呼ぶのでは無く、脳の不安回路の誤作動により、日常生活が不安に満ちたものと化してしまいます。青いメガネをかけると世界が青く見えるように、不安というメガネをかけさせられることにより、世界が不安に満ちてしまうのです。脳の誤作動が原因のため、複数の強迫症状を併発している方が多くみられます。

 

精神障害と言われていますが、私は、脳の障害であると思っています。私の患者さんたちも、優しく聡明な方が多いため、精神や心や魂は健全なのだと、いつも感じています。

 

強迫ではない皆さまは、もし道を行ったり来たり、ぼうっと立ちすくんでいる人を見かけたら、心の中で小さく、「ファイト」と応援してくださったら、嬉しいです。

 

 

marie

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